解説リファレンス:答案の書き方と文章技術

同じ判断でも、答案の書き方が曖昧だと評価されません。「誰に・いつまでに・どう報告」を必ず書く型を徹底することで、判断の質を採点者に正しく伝えられます。

本章では合格答案の必須要素(判断・指示・根拠)と、短時間で書き切るための文章テンプレートを整理します。1 案件あたり 30〜60 秒で要点を書き切る型が身につくと、後半の時間切れリスクが大幅に減ります。

この章で学ぶこと

回答は「書く」のではなく「組み立てる」

インバスケットの回答は、文学的な美しさではなく、管理職としての思考プロセスが見えるかどうかで採点されます。つまり、回答は「書く」のではなく、論理的な骨格に沿って「組み立てる」ものです。

回答の基本構造:3 ブロック方式

すべての案件の回答は、以下の3ブロックで構成します。

例:部下からの休暇申請

文型テンプレート集

指示系テンプレート

場面テンプレート
調査指示「○○について、△日までに事実関係を調査し、報告してください」
対応指示「○○の件、△△さんが窓口となり、以下の方針で対応してください」
期限付き「○日の○時までに、△△を私宛てに報告してください」

判断系テンプレート

場面テンプレート
承認「○○の件、承認します。ただし、△△の条件のもとで実施してください」
保留「○○の件は、△△の情報が不足しているため、確認の上であらためて判断します」
却下「○○の件、現時点では見送ります。理由は△△です。代替案として□□を検討してください」

エスカレーション系テンプレート

場面テンプレート
上申「○○の件、私の権限を超える判断が必要と考えます。△△部長に以下の方針で上申します」
相談「○○の件について、△△の観点から□□部門に相談の上、対応方針を決定します」

ヒューマンスキル系テンプレート

場面テンプレート
面談設定「まず○○さんと直接面談する時間を設け、本人の考えをしっかり聴いた上で対応します」
感謝「○○さんの提案は、チームの業務改善につながる良い視点です」
配慮「○○さんのご事情を踏まえた上で、組織として最善の対応を検討します」

加点を狙う5つのテクニック

テクニック 1: 案件間の関連に言及する

インバスケットでは、複数の案件が互いに関連していることがあります。案件間のつながりに気づき、言及できると洞察力で加点されます。

テクニック 2: 「5W1H」を意識する

指示を出す際は、誰が(Who)・何を(What)・いつまでに(When)・どのように(How)を必ず明記します。

テクニック 3: フォローアップを入れる

指示を出したら終わりではなく、「確認する」「追って報告を受ける」などの一文を加えます。管理職のPDCAサイクルが見えます。

テクニック 4: 前任者情報を活用する

インバスケットの設定では、前任者からの引き継ぎ資料が用意されていることがあります。その情報を回答に反映させると情報活用力が評価されます。

テクニック 5: 複数の選択肢を検討する

「Aという判断をした」だけでなく、「B案も検討したが、○○の理由でA案を採用した」と書くと、問題分析力の高さが伝わります。

よくある減点パターンと対策

減点パターン対策
指示があいまい「うまく対応してください」5W1Hを明記
自分で全部やる「私が直接A社に電話します」部下への委任を基本にする
感情的な表現「非常に問題だと思います」事実ベースで冷静に記述
何も決めない「検討します」で終わる検討の方向性と期限を明記
優先度の記載漏れすべての案件に同じボリュームA案件は厚く、C案件は薄く

回答ボリュームの目安

案件の優先度に応じて、回答のボリュームを変えましょう。

優先度回答の目安行数
A(最優先)3ブロックをしっかり記述。アクションは複数ステップ8〜15行
B(重要)3ブロックを簡潔に記述5〜8行
C(通常)判断+1行の理由で十分1〜3行

時間がないときの「緊急圧縮テクニック」

残り時間が少なく、未回答の案件がある場合の書き方です。

この章のまとめ: 回答は「判断 → 理由 → アクション」の3ブロックで組み立てる。文型テンプレートを使いこなし、5W1Hを明記する。案件間の関連付け、フォローアップ、複数案の比較検討で加点を狙える。白紙は最大の減点要因なので、残り時間が少なくても最低限の回答は必ず書く。

関連リンク:時間配分とタイムマネジメント(chapter04)解説リファレンス(章一覧)