解説リファレンス:模擬試験の進め方

本番に近い条件で模擬試験を回すことで、時間配分・判断速度・答案の書き方の弱点が定量的に見えるようになります。模試なしの本番突入は最大のリスクです。

本章では模試の準備(時間設定・道具・環境)・実施(時間内完走の徹底)・振り返り(採点ログ化と弱点の特定)の 3 段階を整理します。模試 → 採点 → 改善のサイクルが学習効率を最大化します。

この章で学ぶこと

演習の進め方

以下の模擬問題は、実際のインバスケット試験を簡略化した形式です。

演習ルール:

模擬演習 1: 急な顧客トラブル

設定

あなたは IT サービス部門の課長として着任して 2 週間目です。前任の佐藤課長は体調不良で急遽退職しました。

案件 A: 大口顧客からのクレーム

> 件名: 【至急】システム障害に関するお詫びと対応要請 > > 宛先: IT サービス課長 殿 > 発信: 営業部 鈴木主任 > > お疲れ様です。営業部の鈴木です。 > 本日 9 時頃、当社の大口顧客である A 物流株式会社の田中部長から > 直接電話がありました。 > > 先週金曜日に納品した在庫管理システムのアップデートにより、 > 一部の倉庫で在庫データに不整合が発生しているとのことです。 > 田中部長は「今週中に改善されなければ契約見直しを検討する」 > と非常にお怒りでした。 > > 開発担当の山田さんに確認したところ、原因の特定には > 最低 2 日はかかるとのことです。 > 至急、対応方針をご指示ください。

案件 B: 部下の有給休暇申請

> 件名: 有給休暇の申請 > > 宛先: 課長 殿 > 発信: 山田(開発担当) > > お疲れ様です。山田です。 > 来週水曜日〜金曜日(3 日間)の有給休暇を申請いたします。 > 子供の学校行事と通院の予定があります。 > よろしくお願いいたします。

案件 C: 社内研修の案内

> 件名: マネジメント研修のご案内 > > 宛先: 各部門課長 殿 > 発信: 人事部 教育研修課 > > 来月 15 日(金)に新任管理職向けマネジメント研修を実施します。 > 参加を希望される場合は、今週金曜日までに人事部へご連絡ください。 > ※業務都合で参加できない場合は、次回(3ヶ月後)にご参加いただけます。

模範解答例

案件 A の解答(A案件: 最優先)

案件 B の解答(B案件: 案件Aとの関連で重要度上昇)

案件 C の解答(C案件: 通常対応)

採点のポイント

評価軸チェック項目配点目安
問題発見力A物流の問題の深刻さを認識しているか★★★
意思決定力具体的なアクションと期限を明記しているか★★★
組織活用力営業部・部長・山田さんの役割を明確に指示しているか★★
洞察力案件AとBの関連に気づいているか★★★
ヒューマンスキル山田さんの事情に配慮しているか★★
優先順位付けA→B→Cの順で対応しているか★★

模擬演習 2: 組織の人間関係トラブル

設定

あなたはマーケティング部の課長です。部下は6名です。

案件 D: 部下からの相談メール

> 件名: ご相談があります(個人的な内容です) > > 宛先: 課長 殿 > 発信: 高橋(入社2年目) > > お時間のある時にご相談したいことがあります。 > 最近、先輩の中村さんから業務に関係のない雑用を > 頻繁に押し付けられており、自分の業務が回らなくなっています。 > 断ると「若手なんだから当たり前だ」と言われます。 > 正直、精神的にもつらいです。 > メールでは詳しく書きづらいので、 > 直接お話しできればと思います。

案件 E: 業績報告と目標設定依頼

> 件名: 上半期の業績報告と下半期目標の提出について > > 宛先: 各課長 殿 > 発信: 部長 > > 上半期の業績報告書と下半期の目標設定を、 > 来週月曜日までに提出してください。 > フォーマットは添付の通りです。

模範解答例

案件 D の解答(A案件: ハラスメントの可能性)

案件 E の解答(B案件: 期限あり)

模擬演習 3: 予算とリソースの判断

設定

あなたはシステム開発部の課長です。年度予算の残りは 500 万円です。

案件 F: 予算超過の追加開発依頼

> 件名: B プロジェクトの追加機能開発について > > 宛先: 課長 殿 > 発信: プロジェクトリーダー 佐々木 > > B プロジェクトのクライアントから、当初の仕様にない追加機能の > 要望がありました。対応には約 300 万円の追加費用が見込まれます。 > クライアントは追加費用を負担する意向ですが、 > 納期は当初予定から変更しないでほしいとのことです。 > 現在のチームリソースでは納期を守るのが困難なため、 > 2 名の増員が必要です。 > ご判断をお願いいたします。

案件 G: 部下の資格取得支援

> 件名: AWS 認定資格の受験費用について > > 宛先: 課長 殿 > 発信: 若手エンジニア 小林 > > AWS ソリューションアーキテクト・プロフェッショナルの > 資格取得を目指しています。受験費用 3 万円と > 教材費 5 万円の部費での負担をお願いできないでしょうか。 > 次のクラウド案件に活かせると考えています。

模範解答例

案件 F の解答(A案件)

案件 G の解答(C案件)

自己採点のやり方

回答を書き終えたら、以下のチェックリストで自己採点してください。

チェックリスト(各項目 1〜5 点)

#チェック項目点数
1優先順位は適切か(A/B/C案件の判断)/5
2判断が明確か(曖昧な「検討」で終わっていないか)/5
35W1Hが入っているか(誰に・何を・いつまでに)/5
4組織を活用しているか(自分で全部やっていないか)/5
5案件間の関連に気づいているか/5
6ヒューマンスキルが見えるか(配慮・傾聴の姿勢)/5
7フォローアップの記述があるか/5
8すべての案件に回答しているか(白紙がないか)/5

合格目安: 各演習で 30 点以上 / 40 点満点

この章のまとめ: 3つの模擬演習で実際に手を動かして回答を書くことが重要。書いた後に模範解答と比較し、自己採点チェックリストで弱点を見つける。「頭でわかる」と「書ける」は違う。繰り返し実践して、回答パターンを体に染み込ませましょう。

関連リンク:弱点分析と継続改善(chapter11)解説リファレンス(章一覧)